「深い」ファンのためのシリーズ ~創元推理文庫~

   

創元推理文庫。
この名前をお聞きになったことはあるでしょうか?
岩波文庫や新潮文庫のようにメジャーではありませんが、日本国内初のミステリ専門文庫として刊行されたシリーズです。
ディープなファンにとっては必須といっても過言ではないほどの存在感があります。

内容としては主に翻訳ミステリを取り扱います。背表紙を見れば、ああ見かけたことがある、という人も多いと思います。

 

○歴史

創刊されたのは1959年(昭和34年)、2004年で創立50周年を迎える長寿文庫です。
「推理」とは銘打たれているものの推理小説限定ではありません。
SF、ファンタジー作品など幅広いジャンルでの良質エンターティメントの紹介が意図されています。
本文庫でしか入手できない貴重な品も多く、マニアのあいだで非常に珍重されているものもあります。

かつてはトレードマークとして背表紙に内容ジャンルを示す挿絵が付加されていました。
本格推理は男性の横顔、警察小説やハードボイルドは拳銃、サスペンス・スリラーは猫、法廷物や倒叙などその他のミステリは時計です。
ホラーとファンタジー(怪奇と冒険小説)は帆船、SFはSFマーク、ゲームブックはユニコーンがあしらわれていました。

最初期の配本はガストン・ルルー『黄色い部屋のなぞ』、AAミルン『赤い館の秘密』、ヴァン・ダイン『ベンスン殺人事件』マクドナルド『凶悪の浜』だそうです。
ただし作家によってはSFやミステリといったジャンルをクロスオーバーする人も居て、分類が難しい点もありました。

近年の大きな動きとしては従来のSF部門が独立して『創元SF文庫』として刊行された点です。

SF人気の復活を願っての新人発掘や有名ベストセラーSFの出版などにぎやかに活動するようになっています。
ちなみに過去のSF部門の第一回目の配本はフレドリック・ブラウン『未来世界から来た男』だったとのこと。

他にもエドガー・ライス・バローズの「火星」シリーズ、E・E・スミス「レンズマン」シリーズなど巷にブームを起こす原因ともなったヒットやアイザック・アシモフ、レイ・ブラッドベリなどの質の高い作品の紹介もあり、SFが一時代を築くのに大きな貢献を為しました。

 

○日本人作家は?

基本的に海外作品の発掘や紹介がメインなのですが日本人作家も発刊しています。
初期は国内SFやミステリの書き手が少なかったのですが、それを補うように海外の良質な作品を供給して読書界を富ませた功績もあります。

昔は江戸川乱歩など大御所が存在感がありました。
年を経るごとに他の日本人作家も増えて人気作品を出すようになり、近年の「現代日本推理小説叢書」との記載があるものは現代日本人作家を中心のジャンルだそうです。
現代日本の人気のミステリ作家は大抵創元推理文庫でも出版しています。
現状では翻訳と国内出身作家の差はあまりなくなってきているとも言えるでしょう。

 

○こういう人に向いてる

創元推理文庫は単純にベストセラーになるような書籍ばかりを選んでるわけではありません。
評価が高く質の良い作品は率先してきて出してきた功績があります。

ここの文庫の向いている人は「深い」読者だと思われます。
巷の売れ行き中心の本に物足りないといった方はこの文庫に手をのばされたらいかがでしょう。
面白い発見があるかもしれません。

有名作家の知られざる作品、他では発売もされてない幻の作品、ファンや通の間で人気の作品など、内容主体で選ばれてるところもあります。意欲作、実験作のようなものも含まれており、その辺りはかなりユニークなラインナップになっています。

他所で手に入らない書籍もあります。過去の絶版には貴重な物語りも眠ってます。

色々と深く追求したいタイプ、変わり種や幅広い読書対象を探している人にはどうぞ。
歯ごたえがあるものが見つかることは請け合いです。

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