少年犯罪の今昔 

   

地方の女子高校生による殺人事件が話題になっています。
これはまだ年若い少女の犯罪でもあり、また精神的な責任能力でも問題があるようです。

残虐な犯罪であるとどうしても過激な刑罰を求める声が出てきますが、今回の事件でも問題になっているのが「未成年」という事実です。
「罪を問う」ということに「年齢」は古くから関わってきました。

「まだ子供がやったことじゃないか」
これは少年少女が何か悪事や失敗をしでかすと使われる言葉です。
子供であると未熟であり判断能力も乏しいことが普通です。
そのためたとえ犯罪でも矯正したり、考慮してやろうという考えが生まれてきます。

江戸時代でもこうした点があり、はっきりとした少年犯罪の規定は無くても、
幼かったり元服前の子供だと多少扱いが変わることがあったそうです。

罪を一等免じられたり、まず親親戚による保護観察、または寺や座敷牢に入れられるなど、本来は処刑扱いでも軽減される場合もあったそうです。
未成年の放火として有名な江戸の八百屋お七の事件では、奉行所側が年齢を低く見たり、精神的な責任能力が問えない方向にもって行こうとしたそうです。
ただこの件では本人が率直で責任を引き受ける姿勢だったので死罪となったそうです。

まだ人権が確立してなかった時代でも「年齢」は考慮する要素となっていたわけですね。

○少年法の内訳

現代はマスコミが発達しているため、残虐な事件などはセンセーショナルに報道されてしまいます。
そのため少年犯罪が増加しているような印象を与えたり、モラルが低下しているように思う人も増えるわけです。
とはいえ少年の犯罪に対して何歳ごろから責任能力が問えるかは議論があるところです。

日本では刑事罰適用年齢が従来の16歳から14歳に引き下げられました。
これには反対意見もあり、国連の委員会からも懲罰的なアプローチになっていると批判を受け増した。
これ以外にも子供に関する権利や囚人の待遇に関する改善勧告を何度も受けてますので、
単純に厳罰化が世界の潮流とはいえません。

国際連合においては、18歳未満の死刑と14歳未満の刑罰に関しては禁止規約があります。
戦前の国際連盟では死刑が適用される年齢は16歳以上からとされ、日本も戦時中を除けば従っていました。

このため日本では18歳未満が死刑判決を受けても無期懲役に減刑されます。
しかし事実上少年刑務所で何十年も仮釈放なしですごす終身刑のケースがありこの点に関しては刑務所の待遇と合わせて批判を受けています。

少年刑務所は成人と同じく刑罰の一環として裁判を受けて行きます。
これは凶悪犯罪の場合にも適用されます。
対して少年院は少年の教育と更正を目的とした場所です。非行などが主な対象で家庭裁判所を通して審判を受けていきます。

少年法の目的は、刑罰によって懲らしめることではありません。基本的に少年の健全育成と性格の矯正、環境の調整を図ることが一番の目的となっています。そこが一般の大人の刑事事件と一線を画す一番の理由です。


○海外の事例

・アメリカ
今で言う少年裁判所が世界で初めてできたのはアメリカです。
日本もGHQの勧告の中で1949年に現在の少年法が成立しました。

州によって異なりますがおおむね18前後の年齢以下だと少年法の適用対象になります。
ただし未成年でも凶悪犯罪を犯した場合はそれ相応の刑罰が適用されます。

また過去には最高裁判所によって違憲判断が出るまでは、未成年でも死刑判決が科せられていましたが、
現在ではほとんどありません。州によっては死刑も廃止されています。

・ドイツ
二段階の少年法が設定されています。14歳以上から責任能力が判断されます。
14~17歳→一律に少年法が適用される。最高懲役刑は十年。一般的には五年が最高。
18~20歳→犯罪の内容を検討した上で、少年法か成人法のどちらで取り扱うかを決定。
     ただし成人扱いで終身刑判決が出ても15年以下に減刑されるのが普通。

・イギリス
10歳から刑事責任が問われるようになりますが、20歳までは成人対象の刑法とは異なる扱いになります。
17歳までが少年法の範囲内であり、18歳以上でもより緩やかな刑罰や矯正活動に重きを置いた処置になります。

イギリスは仮釈放なしの終身刑も定められてますが、法の運用では事実上21歳未満に完全な終身刑は行われません。
またイギリスでは死刑も廃止されています。

未成年のプライバシーなどは配慮されますが、日本の週刊誌報道などがそうであるように、あまりに世間を騒がせた凶悪事件などの場合は顔写真含めて盛んに報道されます。

・フランス
フランスの少年法はドイツと似ている所があります。
年齢と犯罪の性質によって二つに分かれます。

十六歳未満や軽犯罪→少年裁判所の管轄。
凶悪犯罪や16~18歳まで→少年重罪裁判所が取り扱う。

中身は陪審員や判事などの関係者の数と審理の質が違ってきます。
教育や矯正、保護処分の方が重視され、刑罰が軽減されるのは他国と同じですが、より人格や環境の調査が念入りに行われれます。
また処分に関する判事の権限が大きいこと、一連の審理過程において刑事事件の扱いの色彩が濃いことなどが目立ちます。

・ロシア
少年法に関しては20歳以下が対象になってきます。

13歳までは刑事責任は問われず裁判の対象になりません。14歳からは凶悪犯罪などは罪に問われます。
それ以外のより軽い犯罪も16歳から刑事責任の対象になります。

18歳からはほぼ成人と同じ扱いになりますが20歳までは家庭環境や本人の事情によって少年法の範疇で取り扱われることがあります。

死刑や無期懲役はありません。
懲役は仕事や学業があるものは40ー60時間、無い場合は長期で一年間。

禁固は6~10年が用意されてます。また16歳に達すると4ヶ月以下の拘留が認められています。

ただ最近では政治や経済の混乱などで、少年犯罪でもずさんな扱いをされることが時折見られるようです。

スポンサーリンク
   

コメントを残す

サブコンテンツ
スポンサーリンク

このページの先頭へ